東京のすし屋の娘でもある、江戸前寿司伝道師Satomiです。
皆さんは、なぜ葬式で「すし」が出てくることがあるのか疑問に思ったことはありませんか。
時には
・精進料理の時もある
・サンドウィッチのこともある
・郷土料理が出てくることもある
など、色々な食事が出るのではないでしょうか。
今回は、なぜ、葬式で「すし」が出てくるのかを紹介したいと思います。
肉食禁止?!
今でこそ、お坊さんが肉や魚を食べてもなにもいわれませんが、昔の日本では、僧の肉食(にくじき)が禁止されていたため、「生臭坊主」なんて非難されたそうです。しかし明治維新後、僧侶の妻帯・肉食等の許可が発令されました。
仏教が始められた頃は肉食は禁じられていなくて、実はお釈迦さまも肉を食べていたと言われています。
当時のお坊さん(出家修行者)は、お金を稼ぐことやものを作ることはしませんでしたが、それでは生きていけないため、毎日家々を廻り歩いて、食べ物や生活用品等の供養によって生活していました。
供養の食べ物は、原則として、なんでも食べなければいけませんでした。肉をもらったら肉を食べるし、腐ったものも食べていたようです。
精進料理とは…
肉や魚(動物性タンパク質)を使わない仏教における戒律に基づいて、「殺生(生き物を殺すこと)」を避け、「煩悩(人を苦しめ、煩わせる心)」を刺激しないために生まれたのが精進料理です。
このままだと精進=「野菜」だと思われてしまいますが,もともとは「男らしさ,勇気,力」などを意味した言葉でした。
仏教用語で、「美食や肉食を避け、粗食や菜食によって精神修養をする」という意味を持っていますので、精進料理は修行の一つとも言えます。ここから,今普通に使われている「努力すること」を意味するようになりました。
精進料理の食材
精進料理の食材は、「精進物」のみを使用するのが特徴です。
精進物とは、肉・魚介類を用いない植物性のことで、野菜類・穀類・海藻類・豆類・木の実・果実などのことを指します。
食事を作る人の心構え
仏教では、料理の準備や調理から、食事中のマナーや作法、後片付けまで、食にまつわる行動全般を修行の一環と捉えています。
食事を作る人の心構えを「典座教訓」という書物に、
- 「食材に対する敬意を持つこと」
- 「整理整頓を心がけ、道具を大切にすること」
- 「食べる人の立場になって作ること」
- 「手間と工夫を惜しまないこと」
- 料理をする上で「三心(さんしん)が大切であること」
などを説いています。
三心とは、
- 「喜心(きしん)=作る喜びやもてなす喜び」
- 「老心(ろうしん)=思いやりや気配り」
- 「大心(だいしん)=偏りや固執のないおおらかな心」
のことです。
調理方法や味付けなどに関しても細かなルールを定めています。
調理方法
調理方法は、生・煮る・焼く・揚げる・蒸す、の5つを用いることです。
味付け
味付けは、苦い・酸っぱい・甘い・辛い・塩辛いの「五味」に、素材の持ち味を生かすために薄味にする「淡味」を加えた「六味」を基本とすること。
色
色は、赤・白・緑・黄・黒の五色を使った献立にすること。
使っては行けない食材
使っては行けない食材は大きく分けて2つ。
① 動物性の食材。肉、魚介、卵などのほか、バターやチーズ、牛乳などの乳製品も動物から摂取しているものなので、使わないのが基本です。
②「五葷」と呼ばれる匂いが強い野菜
など、ネギの仲間のことを指し、欲情や怒りの心をおこすとして禁じられています。
なぜ通夜や法要で寿司が振る舞われるのか
葬儀後は定期的に法事が行われます。
故人と関係性が深い遺族、親戚、友人で集まり、法事を行うことで、故人の死を偲ぶのが特徴です。
仏教式の法事の食事は、「お斎(とき)」と呼ばれ、
故人の供養のために僧侶によって読経が行われる法要の後の会食を「お斎(とき)」と言い、「お斎」までを含めて法事とされています。
法事は故人が転生するための重要な時期に行われますが、法事の最後にあたる「お斎」は僧侶・参会者への感謝と故人を偲ぶために行われるので、法事の儀礼のなかでも大切な事であることがわかります。
「通夜振る舞い」と言い、通夜修了後、弔問客に食事やお酒を振る舞われることがありますが、
元来仏教では、忌明けするまで魚や肉は慎むこととされていましたが、最近は精進料理でなくてはいけないということは少なくなっており、郷土料理が振る舞われる地域もあれば、サンドイッチなどの軽食が主になる地域もあるようです。
時代とともにこうした飲食接待そのものも少しずつ変化してきているようですが、「すし」が提供されるようになったのは、故人のために足を運んでいただいたお礼の気持ちが大元のようです。
近年では気にする方も少なくなっているといえど、海老や鯛などお祝いで使用する食材は避けることが基本です。
通夜振舞いはあくまで故人に対しての想いを語り合う場所で、故人と一緒に食事をすることで最後の関わり、別れをするという意味合いもあるようです。また、葬儀を手伝い供養に関わった方へ対するおもてなし、御礼の意味も込められていると言われています。
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まとめ
僧侶や参会者への『おもてなし』ですので、手の込んだ料理が振る舞われますが、「すし」は見た目が華やかになるだけでなく、握りすしにはネタの善し悪しがはっきりと表れ、握り一つにしても高い技術が必要とされます。
葬儀や法事にはお金がかかりるので、会食にそれほどお金がかけられないということもあるでしょう。そのような時に、他の料理も引き立てるこだわりの「すし」があれば、参列者への感謝の気持ちが十分に伝わる『おもてなし』になるのではないでしょうか。
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